“更新を続ける”だけでは成果は出ない。成果を生み出すメディア設計と運用の本質
オウンドメディアを立ち上げたものの、思うように成果が出ない——。多くの企業が直面する課題です。
記事は更新しているのに、
- アクセスが伸びない
- 社内の理解が得られない
- 担当者が疲弊してしまう
そんな悩みを抱える担当者にとって、『オウンドメディアの教科書 成果につながる設計・運用・改善のすべて』は、まさに「次の一手」を示してくれる一冊。
本記事では、本書の概要と主要ポイント、そして実際にどんな読者におすすめできるかを紹介します。
| タイトル | オウンドメディアの教科書 成果につながる設計・運用・改善のすべて |
|---|---|
| 著者 | 枌谷 力(そぎたに つとむ) |
| 出版社 | 日本実業出版社 |
| 発売日 | 2025年9月27日 |
| ページ数 | 341ページ |
| 価格 | 2,970円(税込) |
| ジャンル | ビジネス・マーケティング・コンテンツ運用 |
本書の概要
本書は、オウンドメディアを「立ち上げる」「運用する」「改善する」という3つのフェーズに分けて体系的に解説しています。
著者・枌谷氏は、長年にわたって企業の発信支援や自社メディア運営を行ってきたマーケター。実体験に基づいたリアルなノウハウが詰まっており、現場目線で「何を」「どの順番で」「どう設計すべきか」がわかる内容です。
単なるノウハウ本ではなく、
- なぜ成果が出ないのか
- どうすれば続けられるのか
- チームとしてどう運営すべきか
といった“根本的な問い”に答える設計思想の書でもあります。
本書のポイント
特に印象に残ったポイント・要点を紹介します。
「目的」と「対象読者」を定義する
著者は、「誰に」「何を伝えるのか」を明確にしないまま記事を作り続けても、成果は出ないと強調しています。メディアの目的が明確でなければ、KPIも施策もブレる。
たとえば「採用ブランディングの強化」が目的なら、
- 候補者の不安を解消する
- 社員の声を通してリアルな社風を伝える
といったゴール設計が必要です。
“なぜ発信するのか”を定義できているメディアほど、長期的に成長します。
「記事設計」こそメディアの心臓
記事を思いつきで書くのではなく、「目的別に記事タイプを設計する」。
本書では、「入門型」「比較型」「事例型」「体験型」「インタビュー型」など、成果につながる記事構成を整理しています。
たとえば、
- 認知拡大には「入門記事」
- 比較検討フェーズには「比較記事」
- 共感・信頼構築には「事例・インタビュー記事」
このように目的別に型を設けることで、読者導線が明確になります。メディア全体のバランスを整えるためにも、この章は非常に実践的です。
「運用」と「改善」でメディアを“仕組み化”する
多くのメディアが陥るのが、「更新が止まる」「成果が測れない」問題。
著者は、メディア運用を属人的にせず、
- 明確なKPI設定
- 更新ルールの整備
- チーム体制・進行管理
- 定期的な振り返り
といった「改善サイクル」を仕組み化することの重要性を説いています。つまり、メディアを“プロジェクト”ではなく“事業”として扱うこと。
記事制作だけに注力するのではなく、運営全体を設計する視点が欠かせません。
読後の印象と実践へのヒント
本書を通じて強く感じるのは、「メディア運営とは“仕組みと継続”の仕事」だということ。
特に印象的なのは、次の3つのメッセージです。
- “目的”を言語化せよ
- “型”を設計せよ
- “改善”を怠るな
記事を増やすだけでは意味がなく、「読者にどんな変化をもたらすか」を起点に、継続的な改善を重ねることで初めて“成果につながる”メディアになる。
これは、企業の採用広報やB2B発信、技術ブログなどにもそのまま当てはまります。
この本をおすすめしたい人
この本は、次のような方に特におすすめです。
- オウンドメディアの成果に課題を感じている企業担当者
- 「設計」「運用」「改善」を一貫して見直したい編集者・マーケター
- 採用広報・HRマーケティングをメディアで推進している担当者
- 技術系・BtoBメディアの責任者・ディレクター
- 新しくメディアを立ち上げようとしている経営者・広報担当者
一方で、「とにかく記事を量産したい」「短期でPVを上げたい」といった目的には不向きです。この本は、“長く続くメディアをどうつくるか”を学ぶための指南書です。
まとめ:メディアは「続ける」だけでなく、「設計し、育てる」時代へ
『オウンドメディアの教科書』は、発信活動に携わるすべての人にとって、“メディア運営の原点”を思い出させてくれる一冊です。
- なぜ発信するのか
- 誰に何を届けるのか
- どう続け、どう改善していくのか
この3つの問いに正面から向き合うことで、メディアは「情報発信の場」から「成果を生み出す仕組み」へと変わります。
もし今、自社メディアに迷いを感じているなら——この本が、その答えを見つける最初の手がかりになるはずです。

