AIの広がりで、GPUを使ったインフラを作り、動かせるエンジニアが求められています。そのスキルを証明する方法の一つが、GPUメーカーのNVIDIAが提供するNVIDIA認定資格です。
ここでは、NVIDIA認定資格の概要と2つのレベル、資格の種類をまとめました。あわせて、インフラエンジニアが取る順番も紹介します。
この記事で分かること
- NVIDIA認定資格とは何か、2つのレベルと試験の概要
- NVIDIA認定資格の種類(インフラ・運用の資格とAI開発の資格)
- インフラエンジニアがNVIDIA認定資格を取る順番
NVIDIA認定資格とは?
GPUとAIの技術を証明する資格
NVIDIA認定資格とは、NVIDIAのGPUやAIの技術について、知識とスキルを証明するための資格です。AIの開発に関わる資格だけでなく、GPUサーバーやAIデータセンターを構築・運用するインフラ向けの資格もそろっています。
2つのレベル
NVIDIA認定資格は、入門の「アソシエイト」と、実務者向けの「プロフェッショナル」の2つのレベルに分かれています。
| レベル | 対象 | 試験時間 | 受験料 |
|---|---|---|---|
| アソシエイト(NVIDIA-Certified Associate) | AIやGPUインフラの基礎を押さえたい人 | 1時間 | 125ドル |
| プロフェッショナル(NVIDIA-Certified Professional) | GPUインフラやAIの実務に携わる人 | 2時間 | 200〜500ドル |
インフラ系のプロフェッショナルは、2〜3年ほどの実務経験を前提にした内容です。
試験の概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 受験方法 | 自宅などからのオンライン受験(試験監督付き)、または認定テストセンター |
| 問題数 | 多くの試験で40〜60問(インフラ系のプロフェッショナルは70〜75問) |
| 言語 | 英語(一部の試験は簡体字中国語にも対応) |
| 結果 | 合格・不合格のみ(点数は出ない)。合格するとデジタルバッジがもらえる |
| 有効期間 | 2年間。更新するには、もう一度試験に合格する |
試験は英語で行われ、日本語では受けられません。オンライン受験では休憩が取れない点にも注意が必要です。
インフラエンジニアにとってのメリット
AIデータセンターやGPUクラウドの仕事が増えるなかで、GPUインフラの知識を客観的に示す方法が求められています。NVIDIA認定資格は、GPUサーバーやAI向けのネットワークについての知識を、メーカー自身の基準で証明できる資格です。
サーバーやネットワークの実務経験に、この資格を組み合わせると、AIインフラの分野へ仕事の幅を広げる足がかりになります。
AIデータセンターの全体像は、[AIデータセンターとは]で解説しています。
NVIDIA認定資格の種類
NVIDIA認定資格は、インフラを作り動かす人向けの資格と、AIを開発する人向けの資格に分けると分かりやすくなります。受験料は、2026年11月時点のNVIDIA公式サイトの金額です。
インフラ・運用の資格
| 資格(略称) | レベル | 主な対象 | 受験料 |
|---|---|---|---|
| AI Infrastructure and Operations(NCA-AIIO) | アソシエイト | AIインフラと運用の基礎全般 | 125ドル |
| AI Infrastructure(NCP-AII) | プロフェッショナル | GPUサーバーやAIクラスタの構築・検証 | 400ドル |
| AI Operations(NCP-AIO) | プロフェッショナル | AIインフラの運用・管理 | 500ドル |
| AI Networking(NCP-AIN) | プロフェッショナル | AIデータセンターのネットワーク | 500ドル |
| AI Rack and Interconnect(NCP-ARI) | プロフェッショナル | ラック単位のシステムと機器間の接続 | 400ドル |
NCP-AINは、2026年11月から実技(ラボ)の問題が加わり、受験料が400ドルから500ドルに上がりました。受験料や試験の形式は変わることがあるため、申し込む前にNVIDIA公式サイトで確認してください。
AI開発・データの資格
| 資格(略称) | レベル | 主な対象 | 受験料 |
|---|---|---|---|
| Generative AI LLM(NCA-GENL) | アソシエイト | 大規模言語モデルの基礎 | 125ドル |
| Generative AI Multimodal(NCA-GENM) | アソシエイト | 画像や音声も扱う生成AIの基礎 | 125ドル |
| Accelerated Data Science(NCA-ADS) | アソシエイト | GPUを使ったデータ分析の基礎 | 125ドル |
| AI Models and Application Development(NCA-AMAD) | アソシエイト | AIモデルとアプリ開発の基礎 | 125ドル |
| Generative AI LLMs(NCP-GENL) | プロフェッショナル | 大規模言語モデルの開発 | 200ドル |
| Agentic AI(NCP-AAI) | プロフェッショナル | AIエージェントの開発 | 200ドル |
| Accelerated Data Science(NCP-ADS) | プロフェッショナル | GPUを使ったデータ分析の実務 | 200ドル |
| OpenUSD Development(NCP-OUSD) | プロフェッショナル | 3D・シミュレーションの開発 | 200ドル |
インフラエンジニアが主に目指すのは、インフラ・運用の資格です。AI開発の資格は、AIエンジニアやデータサイエンティスト向けと考えてよいでしょう。
新しく案内されている試験
NVIDIA公式サイトでは、AIデータセンターの電力と冷却を扱う試験(AI Power & Cooling)が、新しい試験として案内されています。2026年11月時点では、試験の一覧にはまだ載っていません。
GPUサーバーは大量の電力を使い、強い冷却が必要です。データセンターの設備に関わるエンジニアにとっては、注目しておきたい試験です。
電力と冷却の仕組みは、[GPU基盤とは]で紹介しています。
インフラエンジニアがNVIDIA認定資格を取る順番
NVIDIA認定資格は、ネットワークやLinuxの基礎があることを前提にした内容です。いきなり受けるより、土台の資格から順に積み上げるほうが効率よく合格できます。
土台になる資格を取る
まずは、自分の分野の基本の資格を押さえます。ネットワークならCCNA、サーバーならLPICやLinuC、クラウドならAWS認定などです。
GPUサーバーもLinuxで動き、GPU同士は高速なネットワークでつながっています。Linuxとネットワークの基礎が、そのままNVIDIA認定資格の土台になります。
資格の選び方は、[インフラエンジニアのおすすめ資格一覧]で紹介しています。
NCA-AIIOでAIインフラの全体像をつかむ
次に、アソシエイトのNCA-AIIO(AI Infrastructure and Operations)を受けます。50問・60分の試験で、AIの基礎知識、AIインフラ(電力・冷却・ネットワークを含む)、運用の3分野から出題されます。
| 出題分野 | 割合 | 主な内容 |
|---|---|---|
| AIの基礎知識 | 38% | AI・機械学習の基本、GPUとCPUの違い、NVIDIAのソフトウェア |
| AIインフラ | 40% | ハードウェアの要件、電力と冷却、ネットワーク、オンプレミスとクラウドの比較 |
| AIの運用 | 22% | 監視、クラスタでの処理の管理、仮想化 |
インフラエンジニアが最初に受けるNVIDIA認定資格として、最も取り組みやすい試験です。公式の無料の学習コース「AI Infrastructure and Operations Fundamentals」(所要時間の目安は7時間ほど)と、学習ガイドで準備できます。
専門に合わせてプロフェッショナルへ進む
AIインフラの実務を2〜3年ほど経験したら、自分の専門に合ったプロフェッショナルの資格に進みます。
| 今の仕事 | 目指す資格 |
|---|---|
| ネットワークエンジニア | NCP-AIN(AI Networking) |
| サーバーエンジニア | NCP-AII(AI Infrastructure) |
| 運用・SREエンジニア | NCP-AIO(AI Operations) |
| データセンターの設備・ハードウェアの担当 | NCP-ARI(AI Rack and Interconnect) |
たとえばNCP-AINでは、イーサネットやBGPなどの基本に加えて、InfiniBandやRoCEといったGPU同士をつなぐネットワークの知識が求められます。プロフェッショナルは70〜75問・2時間の試験で、実務の経験がないと解きにくい内容です。
AIインフラの仕事内容は、[AIインフラエンジニアとは]で解説しています。
NVIDIA認定資格でよくある疑問
Q.日本語で受けられる?
受けられません。試験は英語で行われ、一部の試験だけ簡体字中国語にも対応しています。公式の学習コースや学習ガイドも英語が中心なので、技術英語に慣れておくと準備が進めやすくなります。
Q.未経験でも取れる?
アソシエイトのNCA-AIIOは、データセンターのインフラの基本的な理解があれば挑戦できます。まったくの未経験なら、先にネットワークやLinuxの基礎を学び、CCNAやLPICなどを取ってからのほうが理解しやすいでしょう。
Q.有効期限はある?
あります。NVIDIA認定資格の有効期間は2年間で、更新するにはもう一度試験に合格する必要があります。
Q.AI開発の資格も取ったほうがいい?
最初から取る必要はありません。インフラエンジニアは、まずインフラ・運用の資格を優先しましょう。そのうえで、生成AIの基礎を扱うNCA-GENLなどを学ぶと、インフラの上でどんな処理が動くのかを理解しやすくなり、開発チームとも話がしやすくなります。
Q.転職に役立つ?
役立ちます。AIデータセンターやGPUクラウドの求人では、GPUインフラの知識がある人が求められています。資格だけで採用が決まるわけではありませんが、GPUインフラに取り組んでいることを示す材料になります。特に、ネットワークやサーバーの実務経験と組み合わせると強みになります。
まとめ
NVIDIA認定資格は、GPUやAIのインフラについての知識とスキルを、メーカー自身の基準で証明できる資格です。
この記事のポイントは次のとおりです。
- 2つのレベル
入門のアソシエイト(1時間・125ドル)と、実務者向けのプロフェッショナル(2時間・200〜500ドル)がある。 - 試験の概要
試験は英語で、結果は合否のみ。有効期間は2年間。 - インフラ系の資格
NCA-AIIOと、構築・運用・ネットワーク・ラックの4つのプロフェッショナルがある。 - 最初の1つ
インフラエンジニアなら、まずNCA-AIIOでAIインフラの全体像をつかむ。 - 取る順番
土台の資格、NCA-AIIO、専門に合ったプロフェッショナルの順に進む。
NVIDIA認定資格は、これまでのインフラの経験をAIの分野へ広げるための足がかりになります。まずは土台の資格を固め、NCA-AIIOから挑戦してみましょう。

