インフラエンジニアのキャリアパス|経験年数別のロードマップと選び方

インフラエンジニアのキャリアパス|経験年数別のロードマップと選び方

インフラエンジニアとして経験を積むと、「このまま今の仕事を続けていいのか」「次はどの方向に進むべきか」と迷う場面が出てきます。インフラエンジニアのキャリアは、担当する工程を上流へ広げるか、専門分野を深めるかで大きく変わります。

ここでは、インフラエンジニアのキャリアパスを、経験年数ごとのロードマップから解説します。スペシャリストやマネージャーなどの主な選択肢に加えて、自分に合った道の選び方と、そのために今からできることもまとめました。

SUMMARY
この記事で分かること
  • インフラエンジニアのキャリアの広がり方と、経験年数別のロードマップ
  • スペシャリスト・新しい分野・マネジメントなど、主なキャリアの選択肢
  • 自分に合ったキャリアパスの選び方と、キャリアアップのための行動

インフラエンジニアのキャリアパスの全体像

キャリアは「工程」と「専門分野」の2つの軸で広がる

インフラエンジニアのキャリアは、次の2つの軸で考えると整理しやすくなります。

インフラエンジニアのキャリアが広がる2つの軸。1つ目は工程で、運用・保守から構築、設計、全体の設計へと上流に広げていく。2つ目は専門分野で、サーバー、ネットワーク、クラウド、セキュリティを深めたり掛け合わせたりする。
軸広がり方例
工程運用・保守 → 構築 → 設計 → 全体の設計・取りまとめ監視の担当から、設計を任されるエンジニアへ
専門分野サーバー、ネットワーク、クラウド、セキュリティなどを深める・広げるネットワークの担当から、クラウドのネットワークも扱えるエンジニアへ

多くの人は、まず工程を上流へ広げながら、得意な専門分野を見つけていく流れをたどります。

インフラエンジニアの仕事の全体像は、[インフラエンジニアとは]で解説しています。

経験年数別のロードマップ

一般的なキャリアの進み方と、年収の目安は次のとおりです。

インフラエンジニアの経験年数別のロードマップ。1〜3年は運用・保守で年収300万〜450万円、3〜5年は構築で450万〜600万円、5〜10年は設計で600万〜800万円、10年以上は全体の設計・管理で800万〜1,200万円が目安。3〜5年目がキャリアの分かれ道になる
経験年数主な役割身につけたい力年収の目安
1〜3年運用・保守、監視、障害の一次対応OS・ネットワークの基礎、手順どおりに確実に作業する力300万〜450万円
3〜5年構築、設定作業、障害の原因調査機器やサーバーの設定、トラブルを切り分ける力450万〜600万円
5〜10年設計、構築の取りまとめ、後輩の指導要件から構成を考える力、顧客と調整する力600万〜800万円
10年以上全体の設計、プロジェクトの管理システム全体を見渡す力、人と予算を動かす力800万〜1,200万円

年収は、求人情報をもとにした目安です。実際の年収は、企業や業界、地域によって異なります。経験年数よりも、どの工程を任されているかのほうが、年収に大きく影響します。

キャリアの分かれ道は3〜5年目

構築や設計を一通り経験する3〜5年目ごろは、キャリアの大きな分かれ道です。このころから、技術をさらに深めるのか、新しい分野に広げるのか、チームをまとめる立場に進むのかを、少しずつ意識して選んでいくことが大切になります。

インフラエンジニアの主なキャリアの選択肢

インフラエンジニアの主なキャリアの選択肢。インフラの経験から、専門分野を深めるスペシャリスト、SREやプラットフォームエンジニア、AIインフラなどの新しい分野、プロジェクトリーダーやプロジェクトマネージャーなどのマネジメント、ITコンサルタントや社内SE、フリーランスなどの別の働き方の4つの道に広がる。

専門分野を深めるスペシャリスト

1つの分野を深め、その分野の第一人者を目指す道です。

キャリア主な仕事
ネットワークエンジニア・アーキテクト大規模なネットワークの設計を担う
サーバーエンジニアサーバーやOS、ミドルウェアの設計・構築を担う
クラウドエンジニア・アーキテクトAWS・Azure・Google Cloudなどで、システムの基盤を設計する
セキュリティエンジニアシステム全体を攻撃から守る仕組みを設計・運用する

どの分野も、クラウドやセキュリティの知識を掛け合わせると、さらに価値が高まります。

それぞれの仕事は、[ネットワークエンジニアとは]、[サーバーエンジニアとは]、[クラウドエンジニアとは]、[セキュリティエンジニアとは]で紹介しています。

新しい分野へ広げる

インフラの経験を土台に、需要が伸びている新しい分野へ進む道もあります。

キャリア主な仕事
SREシステムの信頼性を、コードと自動化で高める
プラットフォームエンジニア開発者が使いやすい社内の基盤を作り、提供する
AIインフラエンジニアAIの学習や運用に使うGPUなどの基盤を設計・運用する

どれも、サーバーやネットワーク、クラウドの経験がそのまま活かせる分野です。

詳しくは、[プラットフォームエンジニアとは]や[AIインフラエンジニアとは]で紹介しています。

チームをまとめるマネジメント

チームやプロジェクトをまとめる立場に進む道です。

キャリア主な仕事
プロジェクトリーダー構築の案件で、チームの作業を取りまとめる
プロジェクトマネージャー案件全体の計画、予算、人員、進み具合を管理する
インフラ部門のマネージャー社内のインフラのチームを率い、方針を決める

技術の知識があるマネージャーは、現場の状況を正しく判断できるため、どの企業でも求められています。

技術を活かした別の働き方

ほかにも、インフラの経験を活かせる働き方があります。

キャリア主な仕事
ITコンサルタント企業のIT基盤の課題を整理し、改善の方針を提案する
プリセールスエンジニア製品やサービスの導入を、技術の面から提案・支援する
社内SE事業会社の中で、自社のシステムを企画・運用する
フリーランス設計・構築の経験を活かし、案件ごとに契約して働く

自分に合ったキャリアパスの選び方

3つの問いで方向を考える

どの道に進むか迷ったら、次の3つを自分に問いかけてみましょう。

  1. 技術を深めることと、人をまとめることのどちらにやりがいを感じるか。
  2. 今の分野を極めたいか、新しい分野に挑戦したいか。
  3. 5年後に、どんな仕事を任されていたいか

答えに合わせて、おすすめの方向は次のように変わります。

こんな人おすすめの方向
技術を深めることが好きスペシャリスト
新しい技術に触れるのが好きSRE、プラットフォームエンジニア、AIインフラエンジニア
人をまとめることや調整が得意プロジェクトリーダー、プロジェクトマネージャー
顧客と話して課題を解決するのが好きITコンサルタント、プリセールスエンジニア

キャリアアップのためにできること

どの道を選ぶ場合でも、次の行動がキャリアを前に進めます。

  • 上流の工程に関わる
    構築や設計の案件に、自分から手を挙げて参加する。
  • 資格で知識を体系化する
    CCNAやLinuC、AWS認定などで、実力を客観的に示す。
  • クラウドと自動化を学ぶ
    AWSなどのクラウドや、PythonやAnsibleによる自動化を身につける。
  • 経験を言葉にしておく
    担当したシステムの規模や、自分が果たした役割を整理しておく。

資格の選び方は、[インフラエンジニアのおすすめ資格一覧]で紹介しています。

働く環境も選ぶ

同じインフラエンジニアでも、働く環境によって経験できる仕事は大きく変わります。

働く環境特徴
SES企業さまざまな現場を経験できるが、担当する工程は配属先によって決まる
SIer顧客企業のシステムを、設計から構築まで担いやすい
事業会社自社のサービスや社内のシステムを、長い目で育てられる
クラウド・Webサービスの企業大規模な基盤や、新しい技術に触れやすい

今の職場で上流の工程に進む見込みがない場合は、転職で環境を変えることも、キャリアを前に進める有効な手段です。

インフラエンジニアのキャリアでよくある疑問

Q.運用・保守から抜け出せないときはどうする?

まずは、今の現場で手順書の作成や作業の自動化など、一歩上の仕事を自分から引き受けてみましょう。あわせて資格で知識を示し、それでも構築や設計に関わる機会がない場合は、上流の工程を任せてもらえる職場への転職を考えるのも一つの方法です。

Q.30代からでもキャリアチェンジできる?

できます。インフラの経験があれば、クラウドやセキュリティ、SREなど近い分野へのキャリアチェンジは、30代からでも十分に可能です。これまでの経験と、新しい分野の共通点を説明できると、評価されやすくなります。

Q.スペシャリストとマネージャー、どっちを目指すべき?

どちらが正解ということはありません。技術を深めることにやりがいを感じるならスペシャリスト、人やチームを動かすことにやりがいを感じるならマネージャーが向いています。迷う場合は、まずプロジェクトリーダーとして小さなチームをまとめる経験をしてから決めるのもよいでしょう。

Q.資格はキャリアアップに役立つ?

役立ちます。資格だけで仕事を任されるわけではありませんが、知識を体系的に身につけられ、転職や社内の評価で実力を示す材料になります。実務の経験と資格をセットで伝えると、説得力が増します。

Q.転職を考えるタイミングは?

一般的には、構築や設計を一通り経験した3〜5年目が、選択肢の広がりやすいタイミングです。ただし、今の職場で身につく経験に限界を感じているなら、年数にこだわらず、次に経験したい仕事ができる環境かどうかで判断しましょう。

まとめ

インフラエンジニアのキャリアは、担当する工程と専門分野の2つの軸で広がっていきます。

この記事のポイントは次のとおりです。

  • キャリアの広がり方
    運用・保守から構築、設計へと工程を上流へ広げながら、得意な専門分野を見つけていく。
  • ロードマップ
    経験年数よりも、どの工程を任されているかが年収に大きく影響する。
  • 主な選択肢
    スペシャリスト、SREなどの新しい分野、マネジメント、ITコンサルタントなどの働き方がある。
  • 選び方
    技術を深めたいか、人をまとめたいかなど、自分のやりがいと5年後の姿から方向を決める。
  • できること
    上流の工程に関わる、資格で知識を体系化する、クラウドと自動化を学ぶ、働く環境を選ぶ。

キャリアの道は1つではなく、経験を重ねながら選び直すこともできます。まずは5年後に任されていたい仕事を思い描き、そこに近づくための一歩を今の仕事から始めてみてください。

記事の企画・執筆

IT基盤(インフラ)エンジニアのための求人・情報サイト「テックドック」の編集部です。ネットワーク・サーバー・クラウド・セキュリティなど、IT基盤の仕事・技術・資格・キャリアに役立つ情報を、実務に即した視点で発信しています。