CCNAは知識の暗記だけでなく、ネットワークに関する基礎力や実務に近いスキルを試される資格です。
まず前提として、CCNAの問題形式には選択式に加えてシミュレーション問題も含まれるため、事前にどのような出題があるのかを理解しておくことが合格への大きな助けとなります。あらかじめ試験の特徴を押さえることが、効率的な学習につながるでしょう。
この記事を読み進めることで、CCNA試験で出題される問題の種類やシミュレーション問題の特徴、さらに学習を効果的に進める方法がわかります。
未経験の方でも試験の全体像をつかみやすく、学習の指針を得られる内容になっていますので、これからCCNA合格を目指す方にとって役立つはずです。
1.CCNAの試験問題はどんな内容?(出題範囲・問題数・試験時間)
CCNAの試験内容は、ネットワークエンジニアとして業務に必要な知識やスキルを幅広くカバーしています。単なる理論だけでなく、実務に直結する内容が含まれており、基礎から応用まで体系的に学べているかが問われます。
1-1.出題される6分野の内容とポイント
ネットワークの基礎
- OSI参照モデルやTCP/IPモデルの階層構造を理解しているか
- IPv4/IPv6アドレス設計(サブネットマスク、CIDRなど)
- ルーターやスイッチの基本的な役割
- 通信プロトコル(TCP/UDP、HTTP、DNSなど)の特徴
CCNA試験で最も重要な分野のひとつが「ネットワークの基礎」で、ネットワークの全体像を理解しているかどうかを確認されます。
具体的には、OSI参照モデルやTCP/IPモデルといった理論から、IPv4/IPv6のアドレス設計、ルーターやスイッチなどの機器の役割に至るまで、ネットワークの基盤となる知識が出題されます。
つまり、ネットワークの基礎は他のすべての分野の土台となる重要な部分です。通信の仕組みやプロトコルの特徴を正しく理解しているかどうかが、合格の鍵となります。
ネットワークアクセス
- VLANの仕組みと設定
- トランクポートやスイッチ間接続
- 無線LANの基礎(SSID、暗号化方式など)
- ポートセキュリティによるアクセス制御
続いてこの分野では、LANやスイッチング技術に関する知識が問われます。VLANの設定やトランキング、無線LANの基礎など、ネットワークに接続する仕組みを理解しているかが焦点です。
そのため、ネットワークアクセスは企業LANや無線環境の構築・運用に欠かせない知識であり、現場でも頻出するスキルといえます。
IP接続
- 静的ルートとデフォルトゲートウェイの設定
- 動的ルーティングプロトコル(OSPF、EIGRPなど)
- 経路選択とメトリックの仕組み
- IPパケットの転送プロセス
また、異なるネットワークをつなぐためのルーティングやゲートウェイ設定を理解しているかを問う分野です。静的ルーティングや動的ルーティング、OSPFといったプロトコルが中心となります。
したがって、IP接続の理解はネットワーク全体を正しく動作させるための必須スキルであり、実務力に直結します。
IPサービス
- NAT(アドレス変換)の仕組みと設定
- DHCPによる自動アドレス割り当て
- DNSやNTPといった基盤サービス
- QoS(サービス品質)関連の基本
一方で、ネットワークの利用を支える各種サービスについて出題される分野もあります。NATやDHCP、DNSなど、ユーザーやシステムが快適にネットワークを利用できる仕組みを扱います。
つまりIPサービスは、日常的に利用するネットワーク機能の理解を問う分野であり、ユーザーに快適な環境を提供する基盤となります。
セキュリティの基礎
- ACL(アクセス制御リスト)によるトラフィック制御
- VPNやファイアウォールの基本
- セキュリティベストプラクティス(パスワード管理やSSH利用など)
- 脅威への基本的な対策
さらに、セキュリティはネットワーク運用において不可欠な分野です。ACLやVPN、デバイス管理におけるセキュリティ対策が出題され、攻撃からネットワークを守るスキルが求められます。
このように、セキュリティ分野はネットワークを安全に運用するために欠かせない知識であり、エンジニアとして必須のスキルです。
自動化とプログラマビリティ
- ネットワーク自動化の基礎概念
- APIを利用したネットワーク設定管理
- SDN(Software Defined Networking)の概要
- DevOpsとの関連性
なお、この分野は近年のCCNA試験で新しく強化された分野であり、ネットワーク自動化やSDNなど最新技術に関する理解が問われます。APIを用いた設定や管理の考え方も出題されます。
だからこそ、自動化とプログラマビリティは今後ますます需要が高まるスキルであり、クラウドや次世代ネットワークに対応できる人材になるための重要分野といえるでしょう。
なお、CCNAの資格そのものの概要や取得メリットについては「CCNAとは」で紹介していますので、あわせて参考にしてください。
1-2.試験で出題する問題数と試験時間は?
CCNAの試験は、120分の試験時間の間に100問程度出題されます。
まず前提として、改訂前の試験では試験時間90分、出題数が50〜60問だったため、2020年の改定後の試験では網羅する範囲が広がっていることがうかがえます。
そのため、問題数の増加にともない試験時間についても90分から120分に伸びたものの、出題する問題数も大幅に増えているため、1問あたりにかけられる時間は結果的に減っている状態です。
したがって、改定前に比べても試験内容の難易度が上がっていますので、CCNAの試験問題に関する知識を確実に付けておくのはもちろん、問題を解くスピードや時間配分も考えて試験に挑みましょう。
ちなみに、公式から発表されているCCNA試験の各分野からの出題率は、以下の通りとなっています。苦手な分野ができないように、なるべく満遍なく勉強しておくことが合格のポイントです。
| 出題分野 | 出題率 |
|---|---|
| IPコネクティビティ | 25% |
| ネットワークの基礎 | 20% |
| ネットワークアクセス | 20% |
| セキュリティ基礎 | 15% |
| IPサービス | 10% |
| 自動化とプログラマビリティ | 10% |
最新の出題比率や試験トピックの詳細は、「Cisco公式サイトのCCNA(200-301)試験ページ」で随時更新されていますので、受験前に必ず確認しましょう。
なお、CCNA以外にもネットワークエンジニアにおすすめの資格については「ネットワークエンジニアにおすすめの資格」で紹介していますので、CCNAとあわせて取得を検討する際の参考にしてください。
このように、CCNAはネットワークの基礎から最新の自動化技術まで幅広い領域を網羅する試験です。また、業界の変化に合わせて試験範囲を定期的に改定しており、常に最新技術を意識した学習が必要となります。これらを理解し、問題演習やシミュレーションを通して習得することが、合格への大きな一歩となるでしょう。
2.CCNAの試験形式とシミュレーション問題
CCNAの試験は、パソコンを使って行われるCBT(Computer Based Testing)方式です。
CBTとは、テストセンターに行き、専用のコンピューターに表示される問題に対して、選択問題はマウスで選択肢をチェックし、記述問題の場合はキーボードで文字を入力して答える方式です。
昔は筆記試験が多かったのですが、現在では多くの資格試験で導入されています。
2-1.出題される5つの問題形式
各問題の形式は以下の通りです。
| 出題形式 | 内容 |
|---|---|
| 選択問題(単一・複数) | ラジオボタンもしくはチェックボックスを選択して回答する形式です。答えが1つの単一問題と複数回答する問題があります。 |
| ドラッグ&ドロップ | 用意されている複数の項目を、適切な位置にドラッグ&ドロップして回答する形式です。すべての項目を使用するとは限らないため、注意しましょう。 |
| 穴埋め | 問題に対して回答欄が空欄になっていますので、文字列を入力して回答します。 |
| シナリオ問題(試験アプレット) | 長文の出題文に対して複数の問題が出題されます。知識だけでなく、文章読解の能力も問われます。試験のウィンドウをスクロールして、出題文の読み飛ばしがないようにしましょう。 |
| シミュレーション問題(ルータ・シムレット) | 用意されたシミュレーション環境上で、出題された内容に合わせたルーターの設定やコマンドを記述する形式です。下記で詳しく解説します。 |
なお、Cisco公式サイトでも、「認定試験のチュートリアル」として出題形式を紹介している動画が公開されていますので、事前に見て回答のイメージを掴んでおきましょう。
2-2.シミュレーション問題の内容と効果的な対策方法
CCNAの試験内容にはシミュレーション問題があります。インターフェース上にルーターの接続状況とそれに対する問題が出され、問いに対するコマンドを記述して解答する形です。コマンドを入力するシミュレーション問題には、ルーター問題とシムレットの2種類があります。
| 種類 | 内容 |
|---|---|
| ルーター | ルーターのシミュレーション問題は、1題に対して、1つの解答を行います。ルーター設定に関する疑似環境が構築されているので、必要なコマンドを入力して解答しましょう。 |
| シムレット | シムレットは、ルーターのシミュレーション問題とシナリオ問題を合わせたような内容になっています。1題につき4問程度が出題され、答えはラジオボタンで選ぶ選択式です。解答を導き出すためには、コマンドを入力して実行する必要があります。 |
シミュレーション問題は配点が高いともいわれており、CCNA試験の合否を左右しやすいパートです。そこで、効率よく対策を進めるための3つのポイントを紹介します。
まず1つ目は、実機またはシミュレーターでコマンド入力に慣れることです。Cisco Packet Tracerなどのシミュレーターを使えば、実際にルーターやスイッチを操作する感覚でコマンドを練習できます。
次に2つ目は、頻出コマンドを手を動かして覚えることです。インターフェースへのIPアドレス設定や有効化、VLANの作成、静的ルートの設定など、基本的なコマンドは繰り返し入力して体に覚え込ませましょう。
そして3つ目は、時間配分を意識した練習です。シミュレーション問題は選択問題よりも解答に時間がかかりやすいため、模擬試験などで時間を計りながら解く練習をしておくと、本番で焦らずに対応できます。
なお、シミュレーション問題の出題数は公式に発表されていませんが、100問程度の中で数問〜十数問程度出題されるケースが多いとされています。まずは選択問題で確実に得点しつつ、シミュレーション問題にも落ち着いて対応できるよう練習しておきましょう。
また、CCNAの試験は一度回答して次の問題に進むと、前の問題には戻れない仕様です。シミュレーション問題であっても同様のため、1問ごとに慎重に確認してから次へ進む習慣をつけておくことが大切です。
なお、CCNAの学習方法にはWeb教科書などの独学教材を活用する方法もあります。この点については「CCNAイージスとは」で紹介していますので、参考にしてください。
3.CCNA試験の合格ライン(合格点)
3-1.CCNA試験の合格ライン(合格点)
CCNAの合格ラインは、実は公式に一律の点数として公表されていません。というのも、CCNA試験はスコアが問題の難易度によって補正される「スケールドスコア」方式を採用しているためです。
一般的には1000点満点中800点前後が合格ラインの目安とされていますが、あくまで目安である点には注意しましょう。
さらに、試験終了後には分野ごとの得点内訳を含むスコアレポートがその場で提示されます。したがって、不合格だった場合でも、どの分野が弱点だったかをすぐに把握し、次回の学習に活かせる仕組みになっています。
そもそもCCNAを取得すべき理由や資格としての位置づけについては「ネットワークエンジニアを目指すなら「CCNA」を取得しておくべき」で詳しく解説していますので、モチベーション維持のためにもぜひ読んでみてください。
3-2.最新の試験内容を踏まえた問題集の選び方
CCNAの試験に向けて問題集を購入する人は、必ず最新の資格内容に合っているものかチェックしましょう。
基礎知識を得るという点で見れば、過去問を解くのは間違いではありません。
しかし、ネットワーク技術は日々進歩しており、試験内容も変わっていますので、古い知識だけではなく、新しい知識を得るためにも最新の教材を選んでください。
さらに、模擬試験問題が付属している問題集を購入する際は、最新の内容に沿っているかを確かめてから購入しましょう。
そうしないと、実際にどのような問題がどのような形式で出るかを把握できず、本番の時間配分などが難しくなってしまいます。
4.練習問題が解けるサイトと効果的な学習方法
4-1.CCNAの練習問題を解けるサイト
CCNAの過去問や問題はネットや書籍などで利用できますが、Ciscoの公式サイトにも練習問題が用意されています。
実践に近い形式でもありますし、問題の傾向を掴んでおくのにも役立ちますので、一度は確認しておきましょう。
ネットワークの特性について正しい説明は、次のうちどれですか?(3つ選択)
- スピードは、ネットワークの特定のリンクのデータ レートを測定して、秒あたりのビット数で表したものです。
- 拡張性は、ネットワーク上に現在何個のノードがあるかを示します。
- 論理トポロジは、ケーブル、ネットワーク デバイス、エンド システムの配置を表すものです。
- 可用性は、ネットワークを必要なときに使用できる可能性を測定したものです。
引用:CCNA 練習問題|Cisco
チェックボックスで選んで解答していくと、最後に正答率が表示されますので、ぜひチャレンジしてみてください。
ただし、練習問題として出題するものの中には、配信が終了している問題もあるため、他の問題集などを解いて慣れておくことをおすすめします。
4-2.効果的な学習方法(3ステップ)
ここまで紹介した出題内容や問題形式を踏まえたうえで、効率よく合格を目指すための学習の進め方を紹介します。
まず最初のステップは、参考書やWeb教材でネットワークの基礎知識をインプットすることです。特に配点比率の高い「IPコネクティビティ」「ネットワークの基礎」「ネットワークアクセス」の3分野は優先的に学習しましょう。
次のステップとして、章末問題や練習問題を使ったアウトプットを行います。知識を覚えるだけでなく、実際に問題を解いてみることで理解度の抜け漏れに気づきやすくなります。
そして最後のステップは、模擬試験形式での総仕上げです。本番同様の時間配分で問題を解き、間違えた分野を再度インプットし直すというサイクルを試験直前まで繰り返しましょう。
なお、独学に不安がある方は、体系立てて学べるオンライン講座を活用するのもひとつの方法です。この点については「CCNA対策におすすめのスクール・オンライン講座」で詳しく紹介していますので、あわせて参考にしてください。
5.まとめ
CCNAの試験問題は、ネットワークの基礎から自動化・プログラマビリティまで6分野にわたって出題され、選択問題だけでなくシミュレーション問題や穴埋め、シナリオ問題など多様な形式で構成されています。100問程度を120分で解く必要があるため、事前に出題傾向と時間配分を把握しておくことが合格への近道です。
シミュレーション問題は配点が高いといわれる一方、CCNAは選択問題の比率が高い試験でもあります。そのため、シミュレーション問題が苦手だという方でも、基礎知識をしっかり固めたうえで頻出コマンドの基本パターンを押さえておけば、十分に合格ラインへ到達できます。
ネットワークエンジニアを目指している方、知識や技術を増やしスキルアップを目指している方など、CCNAの資格を取得する理由は人によってさまざまにあると思います。仕事内容や必要なスキル、年収、将来性について改めて確認したい方は「ネットワークエンジニアとは」もあわせてご覧ください。
先にも述べた通り、CCNAはネットワークエンジニアとして技術を磨きスキルアップしていくために、最初に取得しておくべき資格と言えます。
まずは本記事で紹介した出題分野の優先順位を参考に学習計画を立て、問題集やシミュレーターを使った演習を今日から始めてみましょう。今後のキャリアを見据え、CCNA合格に向けて着実に一歩を踏み出していきましょう。

