インフラエンジニアへの転職で、経験者はこれまでの仕事で身につけた技術を書けば評価されます。未経験の場合はそうはいきません。書ける技術が少ない分、どう伝えるかで書類選考の結果が変わります。
ここでは、インフラエンジニア未経験の方が、職務経歴書をどう書けばよいかを、項目ごとに整理します。転職前にやっておくことや、よくある失敗もあわせて確認してください。
この記事でわかること
- 未経験の職務経歴書で、採用担当者が見ているポイント
- 職務要約・職務経歴・自己PRなど、項目ごとの書き方と例文
- 書くときに気をつけたい注意点と、スキルシートとの違い
1. 未経験の職務経歴書で、採用担当者が見ていること
書き方の前に、そもそも書類がどう読まれるのかを押さえておきましょう。
履歴書と職務経歴書の違い
履歴書は、氏名や学歴といった基本情報を確認する書類です。一方、職務経歴書は、これまでの仕事で何をし、どんな強みがあるかを伝える書類です。中途採用では、この職務経歴書の内容が、書類選考の中心になります。
未経験は「ポテンシャル採用」で評価される
インフラエンジニアの実務経験がない場合、即戦力としての評価は受けられません。代わりに見られるのが、学び続けられるか、人と連携して働けるか、入社後に伸びる見込みがあるかといった「可能性」です。この採用方法をポテンシャル採用といいます。
IPAが公表した「DX白書2023」でも、日本企業でDXを進める人材の「量」と「質」の不足が示されています。IT人材を求める動きは、IT業界に限らず広がっているため、未経験者を育てる前提で採用する企業もあります。
書類に盛り込んでおきたい情報
未経験の職務経歴書には、次の情報を入れます。
- PCスキル(WordやExcelなど。事務での使い方も含む)
- ITでも活かせる前職のスキル(英語力、チーム管理、顧客対応など)
- 取得したIT資格(LPIC、LinuC、CCNAなど)と、学習中の資格
- 学んでいる技術(プログラミング言語、Linux、ネットワークなど)と、学習の方法・期間
これらに共通するのは、「なぜエンジニアになりたいのか」と「これまでどう学んできたか」を、事実で示すという点です。
2. 未経験の職務経歴書の書き方
職務経歴書は、次の6項目で組み立てます。例文の数字や社名は、自分の内容に置き換えてください。
① 職務要約
職務要約は、職務経歴書の冒頭に置く3〜5行のまとめです。採用担当者は、まずここで続きを読むかを決めます。未経験の場合は、「前職で何をしてきたか」に加えて、「ITのために何を学んできたか」を入れます。
例:住宅設備の営業として5年間、顧客対応と納期調整を担当しました。ITの仕事に興味を持ち、現在はLinuxとネットワークの基礎を独学で学習中です(学習開始から約6か月)。前職で培った調整力と報告の習慣を活かし、インフラエンジニアとして着実に成長したいと考えています。
② 職務経歴(前職の具体的な内容)
エンジニアとは関係がない仕事でも、ここは省略しません。担当した業務と、数字で示せる実績を組み合わせます。
- 営業職:担当顧客数、売上金額、目標に対する達成率
- 事務職:月間の処理件数、作業時間の短縮、作成した資料やマニュアル
「何をしたか」だけでなく、「どう工夫して、どんな結果になったか」まで書くと、仕事の進め方が伝わります。
③ 活かせる経験・強み
ITの仕事でも、前職の経験が活かせる場面はあります。たとえば営業職なら、相手の話を聞いて課題を整理する力や、納期に向けて調整する力です。次のように、できればエピソードを添えます。
例:納期遅れが起きたとき、原因を社内の関係部署と確認してその日のうちに顧客へ報告し、再発防止の手順をチームで共有しました。
④ 学習内容・成果物
未経験の職務経歴書で、最も差がつく項目です。学んでいることを、実際に手を動かした記録として示します。
- 構築した環境:自分のPCやクラウド上に作ったLinuxサーバー、Webサーバー、ネットワークの検証環境。構成図も添えます
- 学習ノート:何を設定し、どこでつまずき、どう解決したかの記録
作ったものについて「何のために作り、どこで詰まって、どう解決したか」を言葉にしておくと、面接で質問されても答えやすくなります。
⑤ 保有資格・スキル
取得済みの資格は必ず書きます。LPIC、LinuC、CCNAといった資格は、基礎を学んでいることの目安になります。取得前の資格は、「受験予定(2026年○月)」と、実際の予定とあわせて書きます。資格の選び方は資格についての記事をご覧ください。
⑥ 自己PR・志望動機
自己PRでは、③の強みを、応募先でどう活かすかと結びつけます。志望動機では、「なぜエンジニアか」「なぜこの会社か」「入社後にどう成長したいか」の3つを、それぞれ一文ずつでも書きます。
ここは企業ごとに書き変える項目です。使い回すと、読む人に見抜かれます。事前に自己分析をして、自分の強みや興味を整理しておきましょう。
3. 未経験が気をつけたい注意点
ここでは、書く前や書いた後に見直したい、失敗しやすい点を整理します。
① 「即戦力」のふりをしない
未経験に対して、企業は即戦力を期待していません。実務で使えると言い切ってしまうと、面接で深く聞かれたときに答えられず、逆効果になります。学習の範囲を「できる」「学習中」「読んだだけ」のレベルで区別して書くことをおすすめします。
② 企業ごとに、求められている人物像を確かめる
未経験採用でも、「一から育てたい」「先入観のない人を迎えたい」といったように、企業の狙いは異なります。次の情報を見てから、自己PRと志望動機を調整しましょう。
- 事業内容と、扱っている技術
- 採用ページに書かれた、求める人物像
- 社員ブログやインタビューからわかる、働く様子
- 未経験者向けの研修の有無
③ インフラの中で、目指す分野を絞る
インフラエンジニアといっても、サーバー、ネットワーク、クラウド、運用・監視など、扱う領域は複数あります。「インフラエンジニアになりたい」だけでは、志望動機が伝わりません。どの領域に関心があり、そのために何を学んでいるのかを、自分の言葉で説明できるようにしておきましょう。
職種ごとの違いや、研修のある会社の選び方は、[未経験からインフラエンジニアになるには|職種・勉強・転職の進め方]で解説しています。
④ 志望動機に、将来の見通しを入れる
未経験の転職では、「一時的な興味ではないか」と見られやすいです。ITは技術の変化が速いため、入社後も学び続ける姿勢が欠かせません。「まずここを身につけ、その先はこうなりたい」という、段階的な見通しを書くと、継続して働く意欲が伝わります。
⑤ スキルは、レベルを添えて書く
使える言語やツールは、種類を列挙するだけでは伝わりません。「独学でLinuxの基本コマンドを理解」「自宅の環境でWebサーバーを構築できる」のように、どこまでできるかを、一緒に書きましょう。実務で使った経験がない場合は、「実務経験なし」と明記しても構いません。
⑥ 今あるスキルは、漏れなく書く
エンジニアとは無関係に見えるマネジメント経験や顧客対応も、ITの職場では活きます。自分で「関係ない」と判断して削らず、まず書き出してから、応募先に合わせて選びましょう。
書き方で迷ったときは、転職支援サービスの添削を受けるという選択肢もあります。
4. スキルシートとの違い
未経験の応募では、スキルシートの提出を求められることは多くありません。必須ではないため、今すぐ作らなくても構いません。ただし違いを知っておくと、転職後やフリーランスで働くときに役立ちます。
職務経歴書とスキルシートの違い
どちらも経験やスキルを伝える書類ですが、読む人が違います。
| 項目 | 職務経歴書 | スキルシート |
|---|---|---|
| 読む人 | 採用担当者(ITの知識がない人も含む) | 現場のエンジニア |
| 目的 | 人柄・強み・志望を伝える | 技術の種類とレベル、プロジェクトの経験を伝える |
| 主な内容 | 前職の経験、学習内容、自己PR | OS・言語・DB・ツール、参画したプロジェクト |
| 提出される場面 | すべての転職で必要 | 経験者の転職や、フリーランス・副業で求められることが多い |
職務経歴書は、ITに詳しくない人が読んでも分かる書き方にします。スキルシートは、エンジニアがレベル感を確認できるように、技術を細かく書きます。
スキルシートに書く内容
基本の項目は次の4つです。
- 基本情報:氏名、年齢、最終学歴など
- 資格・スキル:保有資格、得意な技術、実績
- 言語・技術:OS、プログラミング言語、DB、ツール
- 職務経歴・プロジェクト詳細:参画したプロジェクトの規模や役割
技術は、一覧表にしてレベルを添えると伝わりやすくなります。未経験の方を想定した例です。
| 領域 | 内容の例 |
|---|---|
| OS | Linux(独学で基本コマンドを学習、実務経験なし) |
| ネットワーク | IPアドレスとDNSの基本を学習、CCNA学習中 |
| プログラミング | Python(独学で簡単な自動化スクリプトを作成) |
| クラウド | AWS(EC2でWebサーバーを自分で構築) |
| ツール | Word・Excel(前職で日常的に使用) |
5. まとめ
未経験の職務経歴書では、「技術があるか」よりも、「学び続けられるか」「前職の経験を活かせるか」が見られます。要点は次の3つです。
- 職務要約で、前職の経験とITのための学習を、一緒に伝える
- 学習内容と成果物を、事実とレベルを添えて書く
- 志望動機は企業ごとに書き変え、将来の見通しを入れる
書き方に迷ったときや、自分の経験がどこまで評価されるかを確かめたいときは、転職支援サービスで書類を添削してもらうと、修正点が分かりやすくなります。

