未経験からのインフラ勉強ロードマップ

未経験からインフラエンジニアを目指すと、「何から勉強すればいいのか分からない」「どこまで勉強してから転職活動を始めるべきなのか」と迷うことがあります。範囲が広い分野ですから、順番が分からないと、手をつけることも難しくなります。

結論から言うと、転職前のゴールは「全体像と基礎用語を押さえること」で十分です。深い技術は、入社後の研修や実務で身につけていく考え方が現実的です。ここでは、勉強の順番を4つの段階に分けて、各段階でやることを解説します。

この記事でわかること

  • 転職前の勉強のゴールの目安
  • 勉強の順番と、各段階でやること
  • 独学・スクール・入社後の研修の使い分けと、転職活動を始める目安

勉強を始める前に、転職前のゴールを決める

勉強を始める前に、「どこまで学べばよいか」を決めておくと、迷いが減ります。完璧に学んでから転職活動を始めようとすると、いつまでも始められなくなることがあります。

転職前に求められるのは、「全体像と基礎用語」が中心

未経験採用で見られるのは、高度な技術よりも、仕事を理解しようとする意欲や、学び続ける姿勢です。そのため、転職前のゴールは、仕事の全体像をつかみ、基礎用語の意味を説明できる程度を目安にするとよいでしょう。

入社後の研修や実務で学ぶこと

機器の設定作業や、障害が起きたときの対応の流れなどは、入社後に研修や実務で学んでいくことが多いとされています。ただし、研修の内容や期間は会社によって大きく違います。

研修が整っているかどうかの見分け方は、[研修ありのインフラ求人を見分けるチェックポイント]で整理しています。

転職前に深く学びすぎなくてよい理由

インフラ領域の学習は、実機や環境がないと実感しにくいのが難しさです。転職前に深く学びすぎるより、研修が整った会社で実務を通して学ぶほうが、効率的に成長できる場合もあります。

この記事のロードマップも、「転職前にどこまでやるか」を中心に組み立てています。

勉強の順番は、4つの段階で考える

未経験からの勉強は、次の4つの段階で考えると整理しやすくなります。すべてを順番どおりに終える必要はありません。自分がどこにいるかを確かめる目安として使ってください。

未経験からのインフラ勉強の順番を、段階1から段階4と入社後の流れで示した図。段階1は全体像をつかむ段階で、どんな仕事があるかを自分の言葉で説明できることが目安。段階2は基礎用語を説明できる段階で、用語の意味を自分の言葉で話せることが目安。段階3は触って確かめる段階で、読んだ知識を手を動かして確かめた経験があることが目安。段階4は志望する職種に合わせて深める段階で、志望する職種とその理由を話せることが目安。その先は入社後の研修から実務へ進み、研修、運用・監視へ進む。すべてを終えてから、転職活動を始める必要はない。
段階やることゴールの目安詳しく知りたいとき
段階1:全体像をつかむインフラエンジニアの仕事と、職種の違いを知るどんな仕事があるか、自分の言葉で説明できるインフラエンジニアの種類|未経験から目指しやすいのはどれか
段階2:基礎用語を説明できるネットワーク・サーバー・クラウドの基本用語を学ぶ用語の意味を、自分の言葉で話せる—
段階3:触って確かめる実際に操作して、仕組みを体験する読んだ知識を、手を動かして確かめた経験がある—
段階4:志望する職種に合わせて深める目指したい職種に合わせて、学ぶ範囲を絞る。資格を取る場合もここで考える志望する職種と、その理由を話せる未経験からのインフラエンジニア転職に資格は必要?取るなら何を選ぶべき?

この先は、入社後の研修、運用・監視という流れです。次の章から、各段階を順に解説します。期間の目安は、人によって幅があるため、ここでは示しません。

最初に押さえる、全体像と基礎用語

段階1と段階2は、転職前の勉強の中心です。ここを押さえると、求人票や面接での言葉が分かるようになります。

段階1:仕事と職種の全体像をつかむ

インフラエンジニアは、サーバーやネットワーク、クラウドなど、システムを動かし続けるための土台を支える仕事です。担当する領域によって職種が分かれ、未経験から目指す場合の入りやすさも異なります。

まずは、どんな職種があるかを知りましょう。職種の違いと、目指しやすい順番は、[インフラエンジニアの種類|未経験から目指しやすいのはどれか]で解説しています。

段階2:3つの領域の基礎用語を説明できるようにする

次の3つの領域について、基本的な用語を押さえます。意味を説明できる程度で構いません。

領域押さえておきたい用語の例
ネットワークIPアドレス、ルーター、スイッチ、LANとWANの違い
サーバーOS(LinuxとWindows)、仮想化、バックアップ
クラウドAWSなどのクラウドサービスが、従来のサーバーとどう違うか

「説明できる」をゴールの目安にする

用語を丸ごと覚えるより、「これは何のためのものか」を自分の言葉で話せるかどうかを目安にします。この状態になれば、入社後の研修で学ぶ内容を理解しやすくなります。「何を言っているのか分からない」という状態を抜け出すことを、まずの目標にしてください。

学び方:入門書や無料の学習サイトから始める

段階2は、入門書や、無料で学べる学習サイトで十分な範囲です。いきなり高価な教材をそろえる必要はありません。

次に、触って確かめて、志望する職種に合わせて深める

段階3と段階4では、「やってみる」と「絞る」を進めます。ここをすべて終えてからでないと、転職活動を始められないわけではありません。

段階3:実際に触って確かめる

読んで覚えた知識は、実際に手を動かすと理解が深まります。実機がなくてもできる範囲として、パソコン上に仮想の環境を用意して、Linuxの基本操作を試す方法などがあります。

実際の現場と同じ規模の環境を作る必要はありません。「分かったつもり」で終わらせず、一度でも手を動かした経験を持つことが、面接で学習の進め方を話すときにも役立ちます。

段階4:志望する職種に合わせて深める

目指したい職種が見えてきたら、その職種に合わせて、深める範囲を絞ります。職種ごとの目指し方は、次の記事で解説しています。

クラウドは、最初から目指すより、サーバーやネットワークを経て進む人が多いとされています。そのため、まずはサーバーかネットワークの基礎を固めるという選択肢もあります。

資格を取る場合の位置づけ

資格は、応募の必須条件ではありません。ただし、学習の進み具合を示す材料として、評価されやすいとされています。取る場合は、目指す職種が決まってから選ぶと、目的とのつながりが説明しやすくなります。

選び方と優先順位は、[未経験からのインフラエンジニア転職に資格は必要?取るなら何を選ぶべき?]で、CCNAとLPICの比較は[CCNAとLPIC、未経験の転職にはどちらが先か]で整理しています。

独学・スクール・入社後の研修を、どう使い分けるか

学び方には、独学、スクール、入社後の研修の3つがあります。どれが正しいということはなく、段階と状況に合わせて選びます。

学び方向いている人注意点
独学(書籍・無料サイト)まず仕事が自分に合うかを試したい人質問できる相手がいないと、折れやすいことがある
スクール短期間で基礎を固めたい人費用がかかる。修了だけでは未経験の扱いが変わらないとされる場合もある
入社後の研修基礎から実務まで学びたい人研修の質は会社によって大きく違う

段階1と段階2は、独学で進めやすい範囲です。段階3以降で迷ったときに、スクールや質問できる環境を検討するという順でも構いません。

独学で迷いやすい点

独学では、範囲が広くて何から手をつけるか迷うこと、実機がなくて実感しにくいこと、質問できる相手がいないことが、つまずきの原因になりやすいとされています。そこで、この記事の段階に沿って、今はどこを学んでいるのかを確かめながら進めると、迷いにくくなります。

入社後の研修で学べることと、会社を選ぶ見方

入社後にどこまで学べるかは、会社の研修や配属の仕組みで変わります。研修や配属で失敗しないための見方は、[未経験のSESはやめとけ?配属・研修で失敗しない企業の見極め方]で整理しています。

転職活動を始める目安

次の項目がいくつか当てはまるようなら、転職活動を始めてもよいタイミングといえます。すべて完璧にそろえる必要はありません。

  • 基礎用語の意味を、自分の言葉で説明できる
  • 目指したい職種の候補がある
  • 続けている学習の方法を、面接で具体的に話せる
  • 職務経歴書に、学習している内容を書ける

面接での学習の伝え方は、[未経験からインフラエンジニアへの転職|書類・面接で見られるポイント]で、職務経歴書の書き方は[未経験からインフラエンジニアになるための職務経歴書の書き方と注意点]で解説しています。

転職活動は、勉強と並行して進めてもかまいません。最初の一歩は、[20代未経験でインフラエンジニアに転職したい人が最初にやること]をご確認ください。

よくある疑問

Q. 勉強にどれくらい時間がかかる?

人によって幅があり、一概には言えません。前職の忙しさや、目指す職種、どこまでをゴールにするかで変わります。期間を決めるより、段階を一つずつ進めることを目標にしてください。

Q. プログラミングは必要?

基本的には、必須とはされないという見方があります。ただし、職種や会社によって異なります。作業の自動化などで、役立つ場面もあります。気になる会社があれば、求人票で確認してください。

Q. 文系でも学べる?

学べるとされています。入社時点では、高度な技術よりも、学び続ける姿勢が見られる傾向があります。文系出身の方が不安に感じやすい点は、[文系・未経験でもインフラエンジニアになれる?]で解説しています。

Q. 資格がないと応募できない?

応募できます。資格は必須条件ではなく、あれば学習の進み具合を示す材料になります。選び方は、[未経験からのインフラエンジニア転職に資格は必要?取るなら何を選ぶべき?]をご確認ください。

Q. 働きながらでも進められる?

進められるとされています。無理のないペースで、今の段階だけに範囲を絞ると続けやすくなります。一度にすべてを学ぶ必要はありません。

Q. 実機がなくても学べる?

段階3の範囲では、仮想の環境などを使って学べることがあります。一方で、現場の機器を扱う作業は、入社後に学んでいくことが多いとされています。転職前にすべてを経験しておく必要はありません。

まとめ

未経験からインフラエンジニアを目指す勉強で、押さえておきたいのは次の3点です。

  • 転職前のゴールは、全体像と基礎用語を説明できること
  • 勉強の順番は、4つの段階(全体像、基礎用語、触って確かめる、職種に合わせて深める)で考える
  • 深い技術は、入社後の研修や実務で身につけていく

完璧にならなくても、転職活動は勉強と並行して進められます。資格は必須ではなく、学習の進み具合を示す材料のひとつです。

記事の企画・執筆

IT基盤エンジニア(ネットワーク・サーバー・クラウド・セキュリティなど)に特化した転職・キャリア支援メディア「テックドック」の編集部。業界の最新動向や資格情報、キャリア形成に役立つ知識を、実務に即した視点で発信しています。